東京高等裁判所 昭和30年(お)17号 決定
最高裁判所は申立人に対する同裁判所昭和二六年(れ)第二五一八号強盗殺人、同未遂、殺人強盗予備、私文書偽造、同行使詐欺、同未遂被告事件について昭和三〇年四月六日上告棄却の判決を言渡したが、右判決は不正のものである。すなわち右判決は、(A)無犯罪、(B)無自白、(C)無証拠の事実を(D)有犯罪(E)有自白と欺瞞し(C)無証拠を公認公表して申立人を死刑に処したのである。裁判官は無良心の不正裁判遂行のため(A)無犯罪の証拠があつても絶対にこれを採証せず(B)無自白を有自白らしく調書を偽造し(C)自己同業者の偽造した調書内容を唯一の証拠とし以て裁判の本質を滅却したものである。仍て正しい証拠を良心に従つて採証されることを求めるため、本件再審申立に及ぶというにある。
仍て按ずるに申立人の本件再審申立の本案事件である強盗殺人等被告事件は刑事訴訟法施行法第二条に依り旧刑事訴訟法(大正一一年法律第七五号)が適用されるべき事件であるから、これについてされた判決に対する再審申立は旧刑事訴訟法第四九〇条第四九一条に依り原判決をした裁判所がこれを管轄するものであるところ、申立人の本件再審申立は最高裁判所が右本案事件の上告事件である同裁判所昭和二六年(れ)第二五一八号強盗殺人等被告事件について言渡した上告棄却の判決に対し前記の理由によつてするものであるというのである。してみれば本件再審申立の管轄裁判所は最高裁判所であつて、当裁判所はこれについて管轄権がないものといわねばならない。しからば申立人の本件再審申立は既にこの点において不適法であるから、再審申立理由について判断するまでもなく、刑事訴訟法施行法第二条旧刑事訴訟法第五〇四条に依りこれを棄却すべきものである。